手にしたものは?〈短編〉
あれから1ヶ月たった。


私は学内にある例の桜の木の下にいた。

入学式の時を思い出して、ぽけ〜っと散ってしまった桜の木を見つめてた。



「はーなーチャン!」



いきなり誰かが後ろから抱きついてきた。


「わっ!びっくりした…。たかチャンさん?どしたんですか?」


たかチャンさんは、背は低めだけど少しかっこ良くて、少しチャラい。


そんなたかチャンさんの腕から逃げる様にして、顔を見上げた。


〈はなチャン〉って私のこと。本当は華乃〈カノ〉なんだけど。


私は華乃って気に入ってるのにな。ま、いっか。


だって




ただ一人だけ




『かの』




って呼ぶ人がいるから。




特別ただ一人だけ。





「おいっ!華乃!」




来たっ!


< 8 / 39 >

この作品をシェア

pagetop