負け犬も歩けば愛をつかむ。
□恋するオンナの遠吠え


結局、あの後は何もなく家まで送ってもらって、ソファーにごろんと寝転んだ私はそのまま寝てしまった。

朝起きると若干胃がムカムカして、それはもちろん二日酔いのせいなのだけれど、彼の唇の熱や肌の感触が、私の胸を未だに高ぶらせているせいも少なからずあるのだと思う。

椎名さんが毎日スルスに来ることはないし、きっと今日は来ないだろうけど、次会う時はまた気まずいなこりゃ……。



「おい誰だよ、この切り干し大根戻したの!?」

「あーそれは千鶴さんが……って何この量!」

「へ?」



何やら水野くんと真琴ちゃんが叫んでいる声に、ぼけっとしながらじゃがいもの皮を剥いていた私は顔を上げた。

二人に園枝さんも加わり、銀色のボウルの中を覗き込んで皆が爆笑している。



「ちづ、これは明らかに多過ぎだぜ。秤の目盛り見間違えたんじゃねぇ?」

「えぇ!? ……ほんとだ」



急いで私も駆け寄ると、さっきお湯で戻した切り干し大根はボウルから溢れそうなほどに膨れていた。

必要な量の軽く二倍はある……私ってば、なんて初歩的なミスを!



「今日のまかないの主食は切り干し大根ね。ラーメン代わりにでもしてみる? あっはっは!」

「あたしダイエット中だからちょうどいいかも~」

「俺はそんなヘルシー過ぎるメシは嫌だ!」

「すすすすみません、皆様……!」

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