負け犬も歩けば愛をつかむ。
そんなオバサマを胸焼けしそうになりながらも黙って見守り、一通り報告を終えると彼女は上機嫌で専務室を出て行った。
ご苦労様でした、と完璧な笑顔で彼女を見送った専務は、くるりと私に向き直るとサッとその笑みを消し去った。
「こんなに改善点を指摘されたのは過去最多だ」
「た、大変申し訳ございません……」
だってあの人、ハンパじゃなく細かいんだもの!
……と言いたいところだけれど、実際至らなかった部分はあったのだし、それは私のチェック不足だから言い訳出来ない。
これで何度目だろう、と思いながら頭を下げると、専務はあからさまにため息を吐き出し、素っ気ない口調で言い放つ。
「これまでたいした問題は起こらなかったが、最近のスルスにはがっかりさせられているよ」
信頼を失ってしまったようなその言葉が胸に突き刺さる。
目を伏せる私に、専務は革靴の渇いた音を響かせながらゆっくり近付く。
「お世辞にもいいとは言えない給料で、僕達の要望を聞き、僕達を満足させるためだけに毎日料理を作り続ける君達は、本当によくやってくれている。……そう思っていたが、過大評価し過ぎだったか」
何よ、その見下した言い方……私達を働きアリか何かとでも思ってるわけ?
鼻で笑う専務の相変わらず嫌味な発言に、また私の怒りが沸いてくる。
ご苦労様でした、と完璧な笑顔で彼女を見送った専務は、くるりと私に向き直るとサッとその笑みを消し去った。
「こんなに改善点を指摘されたのは過去最多だ」
「た、大変申し訳ございません……」
だってあの人、ハンパじゃなく細かいんだもの!
……と言いたいところだけれど、実際至らなかった部分はあったのだし、それは私のチェック不足だから言い訳出来ない。
これで何度目だろう、と思いながら頭を下げると、専務はあからさまにため息を吐き出し、素っ気ない口調で言い放つ。
「これまでたいした問題は起こらなかったが、最近のスルスにはがっかりさせられているよ」
信頼を失ってしまったようなその言葉が胸に突き刺さる。
目を伏せる私に、専務は革靴の渇いた音を響かせながらゆっくり近付く。
「お世辞にもいいとは言えない給料で、僕達の要望を聞き、僕達を満足させるためだけに毎日料理を作り続ける君達は、本当によくやってくれている。……そう思っていたが、過大評価し過ぎだったか」
何よ、その見下した言い方……私達を働きアリか何かとでも思ってるわけ?
鼻で笑う専務の相変わらず嫌味な発言に、また私の怒りが沸いてくる。