君想い【完】


行き着いた先は新宿。
体の底から震えが止まらなかった。

駅を出て大通りに出ると急ぎ足で歩きだした。
人が多すぎて思わず見失ってしまいそうになった。


繁華街を入る手前でさりちゃんは立ち止まった。

小さなカフェ。

迷わずさりちゃんは入っていった。
僕は帽子を深く被り中に入る。

さりちゃんの座った席にはすでにスーツを着た男が座っている。
男がメニューを差し出すとさりちゃんは首を振った。
水を一口飲み、鞄の中からメモ帳とペンを取り出した。


それから2時間。
そこから動く気配はない。

気が付いた事は二つ。
喋っているのはスーツを着た男だけ。たまに口を開くがほんの一瞬で話を終わらすさりちゃん。
男が話している間はメモを取っている。

少し手に汗をかいてきた。

頭の中で沢山のことが巡っている。

体を売っているの?
次の男の予定でもたてているの?

そんなことばかりだった。


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