君想い【完】
僕の想像では、
スーツの男は援交相手を紹介してくれる人。
さりちゃんは次の相手はどんな奴かを聞いてメモをとっている。
必死にそうじゃない!
と振り切ってもやっぱりそんなことを考えてしまう。
頭を抱えながら考えていた時、さりちゃんと男は立ち上がった。
少し凄んだ顔を一瞬見せた。
淋しそうで何かから怯えているそんな顔。
店を出ようとするさりちゃん達を追うように僕も店を出た。
人の多さ、密着度の激しい場所で思わず2人を見失った。
駅まで戻ったがさりちゃんの姿はなかった。
16年間もさりちゃんを見てきた。
人が多くても、
どんな人と行き交っても、
さりちゃんを分からない訳がない。
ここは都心で探す所はたくさんある。
探してもきりがないと頭の中で判断し、僕は地元の駅でさりちゃんを待ち伏せした。