君想い【完】
「今日休んだの祥ちゃんなんか言ってた?」

「ん?別に。寂しがってたよ。」

「そっか。休みたくなかったなー。最近学校好きだし。」


夜空を見上げながらさりちゃんは歌を唄った。

昨日僕が唄ってあげた「きらきら星」。


でも日本語で。


「英語の歌詞覚えたい。」

何度も言って、

何度も教えた。



でもなかなか覚えてはくれない。



「星見えてないけど。」


あいにく曇り空で星なんかない。


「いいの!唄いたい気分だったの!」


こんな穏やかな時間がいつまでも続くと思っていたのに。


さりちゃんの心を捕らえたのは僕じゃない。

でもこの世で一番さりちゃんの事を理解しているのは、


僕なのに。


なんで祥吾なんだろう。






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