君想い【完】
ゆかりちゃんがそっと手をかけ、
僕の髪から枯れ葉を取ってくれた。
「懐かしい。2年生の始め思い出す。ゆかりちゃんが桜まみれの僕から、花びらを取ってくれて、でもゆかりちゃんも桜まみれだったよね。」
「覚えてるんだ。そんな些細な事。」
「覚えてるよ。今ゆかりちゃんが話してくれたこと、全部覚えてる。」
「ありがとう。ゆか、さりなちゃんより好きにならせて見せる。ゆかの方が好きだって言わせて見せる。だから、」
「ゆかりちゃんって外見と中身全く違うよね。おとなしい子だと最初は思ってたけど、今は強気で誰よりも負けず嫌いだな子にしか思えない。」
恥ずかしそうに下を向いた。
表情がすぐ変わるゆかりちゃんの事を
いつも可愛いと思う。
その中でもやっぱり
笑顔が一番好きだ。
「僕のことお願いするよ。」
「え?」
「聞いてなかったの?もういい、帰ろう!」
そう言うと今度は慌てて目を見開く。
僕が立ち上がると
今度は下唇を噛み締めて目を潤ませる。
「お願いしますって言ったの。」
目を潤ませたまま、
あの僕の大好きな笑顔を見せてくれた。