君想い【完】
第3章 不審な女
毎朝さりちゃんと学校に行くのは僕の日課だ。
気が付くとさりちゃんは僕の家の前にいる。
僕はそれがすごく嬉しい。
「おはよ。純。」
素っ気ない挨拶だけど僕の1日の励みになる。
昨日11時すぎに家に帰ってくるさりちゃんを見た。ここの所毎日遅い。
ファンデーションで隠してもうっすら目の下にはクマがある。
真っ白な肌だから余計目立ってしまうみたいだ。
「最近寝てないの?」
「うん。あんまり。」
「クマ出てるよ?」
「うそ?目立つ?」
「結構。」
鏡を取り出して、ブランド物のポーチからスティックみたいなもので、一生懸命目の下を塗りだした。
またブランド物が増えている。
クマは目立たなくなったが、やっぱり顔が疲れている。
「純おはよー!」
学校に近付くと友達数人に挨拶される。
さりちゃんに挨拶する子は1人もいない。
女子は蔑んだ目でさりちゃんを見ていたり、
男子はやらせて!とか言いながら通って行く。
僕はこの瞬間がすごく嫌いだ。
一度だけさりちゃんに絡む男に怒ったことがある。
そのときさりちゃんは、純の評判まで落ちてほしくないからやめて欲しい、と言ってきた。
それ以来僕は何も言うことが出来なくなった。