君想い【完】
クラスに入るといつもと変わらない雰囲気。
さりちゃんのクラスの様子が知らない。多分いつも1人ですごしているのだろう。
「友達はいーや。」
いつも決まって言う。
僕が口うるさく友達つくりなよとか、仲良い子いないの?
とか聞くとその一言で切られてしまう。
陽気な担任が教室の扉を開き学校の1日が始まる。
「純呼んでるよ!」
昼休みに仲の良い女友達に呼ばれた。
なんとも嫌そうな憎たらしい声だった。
その元凶はもちろん、
「中澤さりなが。」
扉の向こうには背の小さなさりちゃんが立っている。
「どうしたの?」
「教科書貸して?」
少し首を傾げて頼んでくるさりちゃんが愛らしかった。
背中には痛い視線を多く感じる。
「はい。英語!」
「ありがとう!」
小さな足で上履きを鳴らして廊下を走っていった。
また捨てられたか、悪戯でもされたのだろう。