君想い【完】


「また中澤さりなに教科書貸したの?」

「うん。なんで?」

「誰がやってるのか知ってるよ。教科書捨てたり、悪戯したりしてる奴ら。」

「うん。僕も知ってるよ。」

「助けてあげないの?」

「さりちゃんがいいって言うからいいんだ。」

「大好きなさりちゃんなのに?」

「違うよ。幼なじみなだけ。」

そう言って否定している僕はきっと笑ってるだろう。

「けどよく純も幼なじみでいられるよね!中澤さりなはあんな女なのに!」

「さりちゃんは噂とは違うよ。」

「純だけだよ。今だにそんな事言ってるの!あたしも見たしね!スーツの男と歩いてるの。あいつは女として最低だよ!」

「絵美。これ以上言うと僕も怒るよ?」

「はいはい。」

気の知れた女友達の絵美。
さりちゃんのことになると何かとつっかかってくる。
でも絵美はいい奴だと思う。なんだかんださりちゃんの情報をくれる。

誰に呼ばれてたとか、喧嘩して怪我してたとか。
その度僕は助かっている。

でも絵美はやっぱりさりちゃんが嫌いらしい。


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