君想い【完】


家の借金を払うためのお金から少しだけ抜いて、お金を貯めていたらしい。


口座も榎本家で作ればいつか旦那さんにばれてしまう。
薬や別のお金に使われてしまう。


元々借金を抱えた理由は旦那さんのギャンブルから始まったらしい。


「このお金で祥吾くんの命を繋ごうと思うの。もしお金がつきたらうちで払うわ。あの子は息子みたいなものだし。」

「お願いします。祥ちゃんを殺さないでください。」

繋いでいた僕と香代の手を離し、さりちゃんが泣きながら土下座をした。

「ゆかのお小遣いとかいらないから!ゆかからもお願い!」

おばさんは今日一番優しい笑顔を見せた。
笑い方はゆかにそっくりだ。

笑うと目尻が細くなる。


「大丈夫よ。医学が進んで、いつか脳死も息を吹き返すときが来るかもしれない。それまで祥吾くんは死なせたりしないわ。」

「お願いします。」

5人で頭を下げた。


明日、もう一度みんなで祥吾の会いに行こう。


祥吾に会いに行こう。


僕たちが待ってる事を伝えよう。


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