君想い【完】
「純。祥ちゃん戻ってくるかな?」
今の現実を受け止めている。
「ねえ、なんでこんなにたくさん色んなものが繋がれているの?」
またこうやってすぐ事実を頭の中から消してしまう。
誰より、
何より、
さりちゃんが今一番危ない。
このままじゃ狂ってしまいそうだ。
「さりちゃん。おいで。」
さりちゃんの手を繋ぎ、病室を出て屋上に向かう。
屋上は風が強くて、寒さが増した。
「雪が降りそうな雲だね。」
「純。」
「雪が降ったら2人で雪だるま作ろうね。」
「うん。」
やっと泣きやむさりちゃんを抱き寄せた。
こんな風にさりちゃんを抱きしめるのは初めてかもしれない。
「さりちゃん、辛いのは分かるけど、今の事実を認めよう。祥吾の奇跡を信じよう。じゃないと祥吾が可哀想だよ。」