君想い【完】


「純。祥ちゃん戻ってくるかな?」

今の現実を受け止めている。

「ねえ、なんでこんなにたくさん色んなものが繋がれているの?」

またこうやってすぐ事実を頭の中から消してしまう。


誰より、
何より、
さりちゃんが今一番危ない。


このままじゃ狂ってしまいそうだ。


「さりちゃん。おいで。」


さりちゃんの手を繋ぎ、病室を出て屋上に向かう。


屋上は風が強くて、寒さが増した。


「雪が降りそうな雲だね。」

「純。」

「雪が降ったら2人で雪だるま作ろうね。」

「うん。」


やっと泣きやむさりちゃんを抱き寄せた。
こんな風にさりちゃんを抱きしめるのは初めてかもしれない。


「さりちゃん、辛いのは分かるけど、今の事実を認めよう。祥吾の奇跡を信じよう。じゃないと祥吾が可哀想だよ。」

< 261 / 403 >

この作品をシェア

pagetop