君想い【完】

握った小さな手から
ゆかの懐かしい温かさを感じる。

強く握った手を
さらに強く握り返してくる。

「会いたかった。」

「ゆか。ごめんね。」

丸い瞳がまっすぐ僕を見つめてくる。

緊張と動揺で目が離せない。


「人の彼女に何絡んでんだよ!」


怒鳴り散らす横で嬉しそうに香代が頬を染めている。


懐かしい光景。
10ヶ月ぶりに4人がそろった。


「誰この子?」

絵美の睨みがゆかを突き刺す。

その睨みを突き返すようにゆかが目を細めた。

懐かしいゆかの目。
中学1年生の時はよく見ていたこの目。





< 265 / 403 >

この作品をシェア

pagetop