君想い【完】
「彼女です!」
ゆかの言葉に
この場にいた誰もが固まった。
「こんな可愛い子が純の彼女ってありえないでしょ!」
高校からの友達はゆかの存在を知らない。
知らないとういか僕が隠していたって言った方が正しいだろう。
自分の言った言葉にゆかは顔を赤くする。
「ごめん。僕たち帰るね。」
連れに頭を下げてゆかの手を引く。
追うようにトシを香代が足を進めた。
絵美の凍るような目が僕の目に焼き付いている。
「なんであんな事言ったの?」
「でも嘘ではないじゃん。」
「そうだけど。」
「純、ホントに会いたかったよ。」
「ありがとう。ごめんね。」
「謝らないで。むなしくなる。」
僕たちの会話を香代が食い入るように聞いていた。
香代からしたら、僕は今にも殴り飛ばしたい相手だろう。
僕だって
ゆかとの幸せはずっと続くと思っていた。
僕だって
ゆかを手放すときが来るなんて思っていなかった。