君想い【完】
「もうゆかとはいられない。」
せっかくの久しぶりのデートをぶち壊したのは僕だった。
「なんとなく気付いていたけどね。」
「ごめん。もうゆかを見ていられない。これ以上ゆかを傷つけられない。」
祥吾が目を覚まさなくなったあの日から、
さりちゃんの行動は異常だった。
家で発狂するのはほぼ毎日。
眠れなくて睡眠薬まで飲むようになった。
精神安定剤なんて1日3回は飲む。
毎日祥吾の所へ行き、
デートまがいな事をし続けた。
ただ僕の前では絶対にしなかった。
発狂する事も、
精神安定剤も必要なかった。
「純はいなくならないよね?」
口癖のように
何度も何度も言った。
「1人にしないで。」
僕に泣きつくときは必ず言う。
さりちゃんに付き添って眠れない日も続いた。