君想い【完】


「最近さりなから連絡が来ない。」

香代は高校が離れてもさりちゃんと1週間に2回は会っていた。

でも6月になってさりちゃんからの連絡が途絶えた。

香代がメールしても、
電話しても返答がない。

さりちゃんに妙な噂が学校中に流れ始めたときだ。

その噂は僕たち4人は最初誰も信じてはいなかった。

でもトシと香代はデート中に男と歩くさりちゃんを目撃した。

ゆかは僕との待ち合わせ前に
繁華街にあるお店に入って行く姿を見かけた。

最初は否定し続けていた3人も
否定するのをやめた。

今だに僕たちはなんでさりちゃんがあんな風になったのが分からない。

祥吾が喜ぶわけがない。

悲しむだけだ。

香代は何度も電話をし、
真実を突き止めようとした。

が、電話に出たさりちゃんの言葉は残酷だった。



「もう、香代はいらないから。」


16年間で香代を最も傷つけた言葉だった。


トシはさりちゃんに何度も怒りをぶつけた。
その度さりちゃんの言葉がトシの怒りをさらに持ち上げた。


「トシ、うざい。もう顔も見たくない。」




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