君想い【完】
香代とゆかの学校まで顔を出して、
ゆかに言った言葉の意味が今でも僕には分からない。
「純を返して。純はゆかりちゃんのものじゃない。」
「でもさりなちゃんのものでもないわ。さりなちゃんは何がしたいの?これ以上周りを苦しめるのはやめて。」
「知ったような口聞かないで。あたしの何を知ってるの?誰も分からないくせに。純だって今のあたしを知らないの。」
「じゃあ何で純を返せなんて言うの?おかしいでしょ。誰も寄せ付けたくないなら純まで巻き込まないで。さりなちゃんが今何してるか誰も知らない。でも純まで巻き込まないで。」
ゆかの冷静な言葉は感情のないさりちゃんには届かなかった。
「純は、あたしの柱。支えなの。純までいなくなったら、純までいなくなったら、」
香代から連絡を受けて僕がゆか達の学校に着いた時には
手を震わせてさりちゃんが泣き叫んでいた時だった。
「これ飲んで。」
さりちゃんの体を起こし、
鞄の中に毎日入っている安定剤を飲ました。
薬と水が必ず入っている。
さりちゃんの行動がおかしくなって、
誰にも心を開かなくなっても僕の事になるとおかしな事を言うときがあった。
でも僕の前では決して言葉にすることはなかった。