君想い【完】
家の雰囲気とは違い、
麗の部屋は今時の女の子と変わらない部屋だった。
白い絨毯にいくつかキャラクターのクッションが置いてあり、
意外にもベットはピンクだった。
人形も何体か大切そうに飾られていた。
「そんな意外って顔しないでよ。」
目が点になって部屋を見回す僕たちに麗が笑顔で言ってきたが、
意外すぎて誰も言葉を返すことが出来なかった。
「麗は意外に乙女ちっくだよね。」
さりちゃんも笑っていたが、
笑えないほど驚いた。
「座って。」
白い絨毯の上にあるガラスのテーブルを囲むようにみんなで座った。
扉をノックする音が聞こえて振り返ると、
光沢のあるスーツを着た男がオレンジジュースの乗ったトレーを持って立っていた。
この家にオレンジジュースがある事にびっくりした。
光沢のあるスーツを着た男は
事務所に行って来ます、
と言い残し扉を閉めた。
「1人話した事がない子がいるんだけど、ゆかりちゃんだよね?」
ゆかが2回首を縦に振ると、
麗が前髪を掻き上げて、ゆかをまじまじと見た。
「噂には聞いていたけど、ホントに綺麗な顔してるね。マネキンみたい。モデルになったら?」
ゆかは口の端を引きつらせて笑っていた。