君想い【完】
「何の話をしに来たかは分かってるよね?」
「純ちゃんやっと口開いた。黙ってるからどうしたのかと思ったよ。大丈夫。さりなからメールもらって大体把握してる。」
「じゃあ麗の口からも説明して欲しいんだけど。質問していいかな?」
麗がオレンジジュースを口にしながら、にこりと笑った。
が、その笑った顔に恐怖を感じた。
「舞ちゃんの探し方を教えたのは麗だよね?面接行かせたり、体験入店させたりしたのは。」
「うん。あたし達はバックに付いてるだけだからお店と直接関わりはないの。それに東龍のお店なんて尚更分からないんだよね。だから自ら行かせたの。」
さりちゃんは麗の話に頷いていた。
その結果まだ舞ちゃんは見つかっていないのが事実だ。
「舞ちゃんの居場所は麗でも分からないの?」
「分かるわけないでしょ!脅してでも聞けって?そんな事したら抗争になっちゃうよ。」
抗争、という言葉を聞いて僕は少し納得した。
オレンジジュースを一口含み、ゆかが口を開いた。
「ゆかから質問ね。佐倉先輩と麗ちゃんは知り合いなの?」
麗が横に首を振った。
「知り合いじゃないよ。でもあいつは有名だから知ってるし、あたしの顔も割れてるからさりなに聞かせに行ったりしていたの。あたしはあいつに出入りしてるバーに入れないからね。」
香代が手を叩き、確かに。と声を上げていた。
あそこに麗が入ったら、きっと大問題になるんだろう。
「麗ちゃんは祥吾くんの事を知ってるの?」
「彼の家の事は耳にしていたよ。東龍が一般をやってしまったって事。さりなから話を聞いたときやっと全部の真実が分かったけどね。」
麗は10本の指を合わせ、人差し指を2本くるくる回しながら話した。
麗の癖らしい。
思い出すとさりちゃんの部屋で話したときもやっていた。