君想い【完】
おじいちゃんの事と、稲葉馨の事があり背中に墨を入れ、
家を動かす事を決意したらしい。
そこから、心を閉ざし東龍を潰すために動いてきた麗の前に現れたのが自分と同じ思いを持ったさりちゃんだったと言う。
同じ思いから
お互いの信頼関係が生まれ、
麗はさりちゃんを立ち直らせるために考え、
さりちゃんは麗のために動いていたという。
「今どこまで進んでいるの?」
「舞ちゃん探しが終わってないくらい。さりなに調べてもらったら、東龍がバックに付いているお店はほとんど違法のお店だったの。18歳未満を雇っていたり、風俗法を違反していたりしている店ばっかりだったの。まずさりなを雇おうとする時点で違法だしね。身分証明書は偽造してるけど。だからいくらでも手を打てる。」
「舞ちゃんの居場所は?」
麗は目線を下げて首を振った。
居所すら掴めずにいるらしい。
「もう都内にはいない。きっと県外なの。でも東龍が手を出してるのは、あと神奈川と千葉だけなの。お店もそこまで多くない。」
「いくつくらい?」
「49店舗くらい。」
「多くない?」
「少ない方よ。うちなんか全国で数えきれないほどだから。」
世の中が怖いと
改めて実感した。
でも店自体は直接裏と繋がっていないし、
事務所に確認することも出来ないため舞ちゃん探しは地道に探すしか手がないらしい。
「ゆかも探す。教えて!今までさりなちゃんがやってきたこと。」
「あたしもやる。身分証明書でもなんでも偽造して作って。」
「駄目!ホントに危ないから!あたしも何度か危ない目にもう遭ってるの。香代とゆかりちゃんまで危ない目に遭わせる訳にはいかない!」
さりちゃんが必死にゆかと香代を止めようとしていた。
僕とトシは目を合わせた。
きっと考えてることは一緒だ。