君想い【完】
「大丈夫だよ。僕たちが付いていく。見張り役として行くから。だってお店自体は安全なんでしょ?」
「そうね。お店自体は安全よ。組と関わってないし、関係すらないから大丈夫。」
もうさりちゃんだけを苦しめるわけには行かない。
ちょうどもうすぐ冬休みにも入る。
受験も控えてるし、
やるなら今しかない。
3年生になったら、また勉強漬けの日々が始まってしまう。
「みんなでやった方が早いよ。さりちゃん。」
「ありがとう。これが全部終わったら、祥ちゃんも笑ってくれる気がするの。」
久しぶりにさりちゃんの笑顔を見た。
その笑顔に
香代が涙を流していた。
僕も泣きそうだったがこらえていた。
でもまだ少し儚げな笑顔。
きっと舞ちゃんが見つかったら、
本来の笑顔を取り戻せるだろう。
「じゃあ舞ちゃん探しは頼んだよ。あたしは他にも動かなきゃいけない事があるから。」
僕たちは深く頷いた。
麗の電話番号をみんなで登録して、
これからの事を相談した。
すべて繋がって、
やっと真実が掴めた。
やっぱりさりちゃんは僕の知っているさりちゃんのままだった。
噂とは違う、
さりちゃんのままだった。
純粋に人を想って
人のために動いている。
僕の信じたままのさりちゃんだった。