君想い【完】
僕はそのことを麗に話した。
麗は話に納得してくれて、
他の面も考えてみると言ってくれた。
「でもあと15軒は調べよう。少しでもある可能性は潰しちゃいけない。」
周りが最後の冬休みと言える毎日を有意義に過ごしている中、
僕たちは舞ちゃんを探し回る日々を過ごしていた。
ゆかと駅で待ち合わせをして、
今日は横浜に向かった。
綺麗な町並みで
高層ビルが建ち並ぶ中を歩き目的の店まで歩いた。
ゆかが面接を受けているそばで
僕は紅茶を飲んでいた。
面接場所は小汚い喫茶店で
ゆかは文句を垂らしていた。
面接の途中、
僕は男に引っかかる部分を見つけた。
ゆかの面接をしている男は店長らしい。
「君、東京から来たんだよね?なんでわざわざ。」
今までそんな細かい事を聞いてくる奴はいなかった。
ゆかの容姿を見て、今すぐにでも働いてくれ。
と言う奴らばかりだった。
「それにこの住所、」
そこまで言いかけて、男は記入用紙を眺めていた。
「君どっかで見たことあるんだよね。他の店で働いていたりとかした?」
ゆかが首を振ると、男は首を傾げ何かを思い出そうとしていた。