君想い【完】
ゆかが書いた記入用紙とゆかの顔を何度も見直して、
首を傾げていた。
「じゃ、じゃあとりあえずお店行こうか。」
まだ何かを不思議そうに思っているみたいな雰囲気だった。
男はゆかを連れてお店に行く。
僕はそれを追うように店に行き、
客として店内に侵入した。
「どちらの子にしましょうか?」
店に入ると、カウンターに男が立っていた。
店員が冊子を差し出した。
僕は冊子に載っている女の子の写真を隈無く見る。
写真の中にはマイ、という子もいるがもちろん源氏名で
舞ちゃんが働いていても本名でやるわけがない。
冊子の中に舞ちゃんの姿は無かった。
「今日はいいです。」
カウンターから続く廊下にはいくつか扉があった。
その中で何かが行われている、と考えると最初のうちはいてもたってもいられなかった。
でも慣れは怖いもので、
今は扉から出てくるタオル1枚の女の子を見ても何も思わなくなった。
引き留めようとする店員に頭を下げ、店を出る。
ゆかにメールを送り、
店から少し離れたファーストフード店に入った。
30分ほど経って、
ゆかが僕の前に顔を出した。
その顔はご立腹で、
僕の食べかけのポテトを口にしながら
怒り出した。