君想い【完】
「全滅かよ!」
トシがノートを床に投げつけた。
探し回った店に舞ちゃんの姿はなかった。
もう明日から学校が始まってしまう。
もし麗から新しい情報が入っても
学校が始まっては動く事が出来ない。
「中澤!明日からお前はなるべくうちのクラスに来い。もう今更1人でも大丈夫!友達いらないとか言っても俺たちには通じないからな。」
少し照れくさそうに
トシが言うと、
さりちゃんが顔を染めて笑った。
トシのかける優しさが、
さりちゃんの心をまた少し溶かした。
「あたしとゆかりも日にちの空いているときはなるべく顔出すね。」
さりちゃんは黙って、香代に抱きついた。
香代はさりちゃんが心を開いた、
一番最初の女友達だ。
「どうしたの?急に。」
香代に抱きついたまま
さりちゃんは頬を緩ませる。
「みんな大好き。」
自称感激屋の香代は
さりちゃんから顔を背けて、
顔を手で覆っていた。