君想い【完】
「純。声でかい。あの話を知ってる奴は多いけど、中澤が少し関わってたことはみんな知らないんだから!」
「そっか。ごめん。」
予鈴が鳴った。
その音で僕達はちょっと黙った。
廊下から外を見ると、
遅刻しそうな奴が必死に走っていた。
生徒主任が門を閉める準備を始めると、
まだ校庭にも入っていない完全な遅刻者が走り始めた。
もうあいつらは間に合わないだろう。
あそこから走っても教室が1階じゃないかぎり
出席には間に合わない。
「でもおかしいよな。」
「うん…。」
本鈴が鳴ったことに気が付かず、僕とトシは廊下から外を眺めていた。
担任の出席簿での仕打ちを受けて、僕達はやっと本鈴が鳴ったことに気が付いた。
教室に入り、担任の適当な出席を受ける。
いつもふざけて返事をするトシも今日は小さな声で返事をした。
今日も重い気分のまま憂鬱な1日が始まる。