君想い【完】
学校から帰って、そんな時間も経たないうちにさりちゃんは家から出てきた。
いつも見る服とは違う服を着て。
僕は少し震えた。あんなさりちゃんは見たことがない。
住宅街の路地を曲がった所を見て僕も家を出た。
夏も近づいて日も延びている。
まだ明るい空の下を足音をたてないように小走りした。
梅雨明けでやけに空気は乾いている。まだ汗ばむ暑さではなかった。
でも、不安と小走りしたせいで少し汗ばんでいる。
駅でいくらの切符を買ったか確認出来ずとりあえず210円の切符を買った。
みんなが見たという新宿行きの切符。
一両変えて電車に乗り込む。
手帳を眺めながら電車に揺られているさりちゃんを何度も確認した。