叔母さんとみかん畑【完】
『叔母さん、悲しいの?』


叔母さんは俺の問いかけに驚いたような表情を一瞬見せ、すぐにさっきのような悲しそうな、切なそうな表情になった。


『そうね。私がここでみかんを育てる勉強を出してくれたのはね?私の大切な人なの』

『大切な人?』

『そう、大切な人。そして、その人が私の前から消えるときに言ったのよ。”俺がいつも育てていたみかん畑を立派に育ててくれ。そしたら俺はお前を迎えに来る。それまで空の上で見届けとくからな”って言ったのよ』

『お空の上?その叔父さんいけるの?お空の上』

『そうよ。今も見守ってくれてるの。だから、私は頑張って手入れをしてみかんを立派に育ててるのよ』

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