これがあたしの純愛
インアンドアウト
ふふ。下品。
そんな滑稽さに笑いがこみあがってくる。
「なち、きょうもあいつのことかんがえてるんだろ?」
そういう男は楽しそう。
こいつは、快感とスリルさえあれば悦ぶ。
「…あ、たりまえでしょ」
息を吐いた。
放課後、理科室。
後ろに、窓。
その下、サッカー部。
「…ぅうう、あ」
軋んだからだが反射で彼をおさえようとした。
悪いのはあたし。
そんな理性が反射を邪魔して、変な方向に腕がいく。
ぱりん。
頭の近くに放置されていた、割れたままのフラスコ。
それにぶつかって、落としてしまった。
割れていたのに、更に細かくなったそれ。
「…いたい」
「どっちが?」
「どっちも」
顔をしかめながら、血がにじんできた手の甲を眺める。
ガラスがぶっすり刺さってしまったようだ。
きれいな赤が、てらりと光った。
< 1 / 2 >