これがあたしの純愛

「お、シュートきめてるぜ、王子様」


それと同時に、喉から悲鳴が漏れた。
男はあたしを笑う。

「…遊ぶな」

上体を起こして、窓の外を見遣る。

男は相変わらずあたしの後ろについている。


今日もすてき。

あたしは恋をしたばかりの少女みたいに、仲間とハイタッチをしている彼を見下ろした。

あぁ、小さいけど、これで十分だわ。
見下ろせるだけで、満足だもの。

純粋にすきなの。

汚れを知らない、彼がすき。


そんなきれいすぎる彼に、あたしが恋をしていいわけがない。

「っ…」

窓に張り付きながら、だれもいない理科室で嬌声。
じんわりと毒が広がる。

罪悪感。にがくて、あまい。あたしはすきよ。

「いいこえ」


彼だけを見て、あたしはおかされる。

汚れしか知らないあたしは、これが1番の純愛。

1番まともな恋愛方法。


後ろの彼も愛している人がいながら、まっすぐに、馬鹿みたいに純粋に性欲を求めて、今の彼ができている。

あたしは変わらず、グラウンドの彼に視線を落とす。


かれにだかれているような、そんな錯覚がすきでたまらない、そんなあたし純愛。



< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

落雁
kanan+/著

総文字数/193,002

恋愛(ラブコメ)259ページ

表紙を見る
やまねこたち
kanan+/著

総文字数/33,345

その他19ページ

表紙を見る
小悪魔女×芸能人
kanan+/著

総文字数/4,929

恋愛(その他)11ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop