*花は彼に恋をする*【完】

恥ずかしさと胸がキュンとなるのと

微かな複雑な胸の傷みも感じた。

あの人はまだ私をジッと見ていた。

…何かな?

私がブーケを持っているのに

あまりニコニコしていないように

見えたのかな?

元上司だったから

私は目を逸らす事も出来ないし

今日は羽奈の結婚式であって

悲しい顔なんか出来ない。

私の失恋なんて関係ない。

ブーケを貰ったのだから

もっと嬉しそうにしなきゃ。

私はあの人にお世話になったのだから

笑顔を向けなきゃ…。

そう思うと

私は少し離れたあの人に

普段の仕事や会社では見せる事のない

最高の笑顔を見せた。

あの人は一瞬驚いていたけど

少し口角をあげてくれた。


…ああ…この優しい顔。

普段はあまり見せてはくれないけど

ごくたまにこうして

口角をあげてくれるのは

あの人なりの笑顔だと言う事…。


私の心がキュンとした。


その時


『『キャーッ!!』』


周囲に大歓声が響き渡った。



…あっ。

私は我に返った。

そして

…うん?何?…何だろう?と

その歓声に目を向けた。


その視線の先では


羽奈が高崎課長代理とキスをしていた。

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