*花は彼に恋をする*【完】
広い空の下
暖かくなりかけて
桜がヒラヒラと舞い散る中で
絵になるくらい幸せに溢れる
美男美女でもある2人のキスに
私は再び素直に羨ましいと思った。
そして
もう一度あの人に視線を向けると
あの人は2人を見ずに
澄みきった青い空を眺めていた。
やっぱり、カッコイイなぁ…。
いつもカッコ良かったけど
素敵に年を重ねている。
今日のスーツ姿もまたカッコ良い。
今この人はどんな想いで
この空を眺めているんだろう…。
その心の中には
一体誰が映ってるんだろう…。
誰を想ってるんだろう…。
きっと私じゃない誰かに
決まっているのに。
私もこの青い空に目を向けた。
そして、心の中で呟いた。
…ねぇ…神様…。
私はやっぱりここにいる
営業部営業1課の黒瀬課長の事を
今でも忘れられないみたいです。
私が入る隙なんて最初からなくて
叶わない恋だと知りながらも
会う度に高鳴るこの気持ち…。
切なくて、心は痛いのに
溢れ出してしまいそうなこの気持ち…。
やっぱりこの人を
忘れられない私がいます。
吹っ切れたら、どれだけよかったか…。
忘れたかったのに…。
こんな私は
いつか幸せになれるのでしょうか?