*花は彼に恋をする*【完】
私の名前は、野田玲花 (のだ れいか)
大手医薬品・薬剤品メーカー
M製薬広報宣伝課に勤める
入社7年目のOL。
4月生まれで
すぐに誕生日が来る私は
先日27歳になったばかり。
両親や兄、弟や友人からは
『おめでとう』メールが届いたけど
当日の私は一人アパートで
いつもより少し豪華なおうちごはんと
この日の為に買った白ワインと
大好きな苺のケーキを
買って食べただけだった。
本当は
彼氏と一緒に過ごすつもりだった。
別れる1ヶ月前はちゃんと約束してた。
しかし、それは結局叶わなくなった。
彩羽と羽奈や三橋から
誕生日のディナーをしないかと
提案されたけど、丁重にお断りした。
彩羽は藤村課長と
羽奈も高崎課長代理と結婚して
2人ともお腹に赤ちゃんがいる。
三橋には明凛ちゃんと交際中。
大好きな人と家庭を手に入れて
新しい命の誕生を待ち侘びている2人と
婚約間近で羨ましいくらい
和やかで仲睦まじい三橋と明凛ちゃん。
私は彼女達に
甘えたくても甘えられなかった。
それに、甘えたら多分私はきっと
惨めな気持ちになるんじゃないかと
心のどこかで思ってしまっていた。
私の中の小さなプライドが嫌がって
甘える事を許さなかった。
「…玲花は彼氏に
お祝いして貰えるから幸せよね。」
「…そろそろ
プロポーズとかあるんじゃないのか?」
彼女達にそう言われて
別れた事も
もう誰にも祝って貰えない事も言えず
心が痛かった。
一人取り残されたみたいで
寂しさもどこかで感じた。