*花は彼に恋をする*【完】

私は頷いて話を続けた。

「…もう、黒瀬課長とは
どうにもなれないとわかっているのに。
課長だって、私じゃない人と
お見合いして…結婚するから
私の事なんて何とも思ってないって
わかっているのに…。」

「…玲花。」

「…でも、どうしても
頭から離れてくれなくて…。
報われないのわかってるのに…。
…結果、相手からの求めに
拒んでいる私がいて
それがずっと続くから
相手も愛想を尽かして
離れていったんです。」

「…そうだったのか。」

「…今まで付き合ってきた人達には
本当に申し訳なかったけど
私は…私の『ハジメテ』は
翔英さんしか考えられなかったです。」

私の言葉に

彼の肩が一瞬ピクッと動いた。

そして

「……玲花!!」

と強く名前を呼ばれた私は

右手で顎を軽く掴まれると

翔英さんから噛み付くように

唇を塞がれ…深いキスをされた。

「……!!」

目を見開くと同時に舌が割り込まれ

私の舌と熱く絡みあった。

「…はぁっ…。」

吐息混じりの濃厚なキスをされ

お互いの息があがった。
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