*花は彼に恋をする*【完】

唇が離れたと同時に

整わない呼吸の中で

翔英さんに強く抱き締められた私は

「…玲花は俺を煽り過ぎだ。
さっきまでの話…嬉し過ぎるよ。」

と、嬉しさを含ませるように囁かれた。

「…嬉し過ぎる?……ですか?」

そっと顔を見上げると

彼の瞳が私を優しく見つめた。

そして、口角をあげた彼は

「…ああ。凄く嬉しいよ。
男冥利に尽きるぐらいだよ。
…玲花…本当にありがとう。
ずっと俺を想っていてくれて。
俺の為に『ハジメテ』を…なんて。
本当に嬉し過ぎるよ…。
俺は本当に…玲花が愛しくて
可愛くて堪らなくなる。」

と言って彼は

うっすらと潤んだような瞳で

私を見つめると

「…玲花…優しくするから。
絶対に後悔させないように
大事にするから…。
玲花の『ハジメテ』を
………俺に欲しい…愛したい。」

そう言って翔英さんは

私をそっと抱きかかえて

お姫抱っこをするように

ベッドルームへと足を進めた。

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