*花は彼に恋をする*【完】
別れ話を切り出された時

『…もう俺は祝ってやれないけど
本当に好きな奴から祝って貰えよ。』

元彼はこんな事私に言った。

「…何言ってるの!?
私が好きなのはあなただよ!!
別れるなんて言わないでよ…。」

泣きながら私が縋っても

元彼は首を横に振るだけだった。

『…玲花が本当に好きな奴は
俺じゃないんだよ…。』

「…えっ!?」

驚く私に元彼は

『…前に言ってたじゃないか。
上司だった人で
憧れて、今も尊敬してるって
言ってた課長さんだろ?
…本当はずっと
いや、今でも本当は好きなんだろ?』

「…違うよ…私は。」

それ以上、私は何も言えなかった。

『…俺は玲花が好きだったし
その人を忘れて欲しかった。』

「……ちがっ。」

『…何が違うんだよ!』

元彼の語気が強まり

『…玲花はいつまで経っても
俺に抱かれる事を拒むじゃないか!
それは、玲花がその人が
本当は好きなんだよ。
その人に抱かれたいと
玲花は思ってるんだよ!!』

「…違う。」

どれだけ否定しても

元彼の中で燻っていた不満が

解消される事はもう難しかった。


…はぁっ。と息を吐いた元彼は

『…抱かせて貰えないからつまらない。
張り合いもないし、付き合いきれない。
…だから、今後は
その課長さんに祝って貰えよ。』

と、最後に

そう言って私の前から去った。



< 14 / 157 >

この作品をシェア

pagetop