*花は彼に恋をする*【完】
私は頷きながら
「…私…あの…。」
そう言いかけた時
頭を撫でてくれている翔英さんは
「…ああ。
俺もさっきまで
ぐっすり寝てたみたいだ。
さっきシャワーして来た。
玲花も行ってくるといい。
…でも、本当に辛くないか?
起き上がれるか……?
と、私の首の後ろに腕を入れて
優しく私を抱き起こすと
昨夜吊るしておいたバスローブを
いつの間にか持ってきてくれていて
そっと肩にかけてくれた。
「……!!」
その時初めて私は
自身が裸のまま意識を飛ばして
そのまま寝てしまった事に気づき
恥ずかしい気持ちと
下半身が疼くような違和感を覚えた。
昨夜翔英さんと愛し合って
『ハジメテ』を経験した事を
改めて実感して恥ずかしくなる。
「…どうかしたか?
やっぱり…….痛むか?」
私が黙っていたためか
彼が心配そうに私を見た。
「…あっ、いえ…何でも…。」
私は慌てて
バスローブの右腕の袖を通し
左腕を通した時
「……!?」
あるモノが目に止まった。
あれ!?と正直に思った。
そう思ったのは当然。
……なぜなら。
私の左手薬指には
何やらキラキラ光るモノが
はめられていたから…。