*花は彼に恋をする*【完】
「…あの、これは、そのぅ…。」
頭の中は疑問だらけで
聞きたい事はたくさんあるのに
寝起きで上手く頭が働かないからか
何をどう聞いていいかわからない。
「…そんなにかたくなるなよ。」
私の左手を翔英さんが
右手で優しく包んだ。
「…これは玲花に対する俺の気持ちだ。
『玲花は俺のだから』って
独占の証みたいなモノだよ。
…だからいつも
身につけていて欲しい。」
そう言って彼は
「…俺のも。」
と、自分の左手薬指を私に見せた。
そこにはシンプルなデザインの
プラチナリングが輝いていた。
翔英さんも指輪を?
ジッと見つめる私に
「…俺もする事にした。
『俺は玲花のだから』って証。」
そう言って
その手で私の頬を優しく撫でた。
翔英さんだけの私。
私だけの翔英さん。
驚きと嬉しさで
頬が紅くなりそうになる。
「…可愛いな。」
彼の顔が近づいてきて
私は触れるだけのキスをされた。
「……!!」
ドキッとした私を見つめた
翔英さんは真顔になると突然
「…玲花。
年内に…俺と結婚しよう。」
とプロポーズのような言葉を
私にそっと囁いた。