*花は彼に恋をする*【完】
「…情けないぐらい俺は
余裕がないと思う。
指輪のサイズや
好きそうなブランドとかも
玲花から直接聞くのが恥ずかしくて
高崎経由で
アイツの奥さんの羽奈さんに
頼んで教えて貰った。」
逸らせないぐらい
真剣な眼差しを向けられて
ドキドキしている私に
翔英さんは再び口を開いた。
「…愛してるから
絶対に幸せにする。
絶対に玲花を守るから
玲花も俺のそばにいて欲しい。
俺と年内に結婚して下さい。
『黒瀬玲花』になって下さい。」
私の手を握りながら
『…お願いします。』
と、若干声を震わせながら
軽く頭を下げた翔英さん。
営業部の
次期総合部長候補と言われて
仕事がデキて
皆を纏めあげる力があって
皆から一目置かれる人が
私だけをこんなにも愛してくれる。
私のためにここまでしてくれる。
こんなに幸せでいいの?
「………っ、うっ。」
私の瞳から涙が溢れ出した。