*花は彼に恋をする*【完】
私には兄と弟がいるせいか

幼少期は男勝りなところがあり

ケガもして生傷が絶えずに

母親や祖母も心配をかけた事があった。

きょうだい揃って

少し負けず嫌いなところもあったり

クラス委員や生徒会執行部にも

自ら立候補して、委員長も務めて

皆を纏めていた。

反感を買う事もあったけど

それでも私はやりがいを感じて

投げ出さずに乗り越えていっていた。

広報宣伝課は私の希望の職場だったから

陰口を聞いてしまった時は

グサッときたけど

弱音を吐かずに

気が強い性格をアピールして

気にしないように振舞っていた。



しかし、振る舞えば振る舞うほど

先輩社員達には生意気に映るらしく

チーム一丸で取り組んでいた案件の

改善点として提案していた書類も

先輩社員がため息をつきながら

受け取るような態度をとったり

『…お前の案など誰もアテにしない。』

と、先輩社員から改善点を却下されて

議題にも取り上げて貰えない事が

何度も続いた時は、さすがに悔しくて

誰もいない廊下で

一人泣いた事も良くあった。

事情を知っている彩羽達は

『…あまりにも辛いなら
職場異動も一つの勇気だよ。』

と、アドバイスはくれるけど

この仕事は好きだったし

先輩達からの妬みから逃げるのは

負けるような気がして嫌だった。

でも、日々孤立していく事に

やりにくさを否定出来ない矛盾さを

ヒシヒシ感じてはいた。




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