*花は彼に恋をする*【完】
…えっ!?
私は顔を上げて
声のする方へ視線を向けると
いつもとは違う鬼の形相で
先輩社員の近くまで詰め寄っていた
黒瀬課長代理の姿があった。
『『………!!』』
部署内の皆は唖然となり
課長も目を見開き
ポカーンとした顔をしていた。
…別人かと思った。
普段そこまで声を荒げず
仕事には厳しいけど
こんなにまで恐い顔もしない
黒瀬課長代理の表情に
私も驚いて目を見開いた。
こんな課長代理を
私は見た事がないと思うほど
先輩社員を睨みつけた課長代理は
『…『野田が生意気』だと!?
黙って聞いてれば
お前の方が相当陰湿で生意気だ!
後輩が改善点を指摘して何が悪い!!
成果を出して何が悪い!!
業績を伸ばす機会を摘み取って
陰口や妬みをほざく暇があれば
お前もさっさと成果を出せ!!』
と、周囲の驚きを気にせずに
先輩社員に怒鳴りつけた。