*花は彼に恋をする*【完】

漆黒の瞳に私が映る。

長身でガッチリした体格。

日に焼けた小麦色の肌。

いつ見ても本当に素敵で

カッコ良く年を重ねている。

……そんな気がした。

しかし、涙はまだ私の頬を

ポロリポロリと伝っていた。

そんな私を見た黒瀬課長代理は

「……辛かったな…野田。
ごめんな…もっと早くに気づいてれば
君はこんなに傷つかずに済んだのに。
悪かった…本当にごめんな。」

と、私に謝ってきた。

「…そ、そ…そんな。」

私は慌てて首を横に振ると

課長代理はいつもの表情になり

「…野田、別に君は悪くないからな。
成果を伸ばそうと努力するのも
先輩よりも改善を出す事も
別に生意気でも何でもない。
よりよい結果に繋がるのなら
寧ろ良い事だ。
あいつらの陰口や妬みは
単なる八つ当たりだから気にするな。」

と、頭を撫でながら

「…君の頑張りについては
俺は良くわかってる。
君は生意気でもないし
可愛げがないなんて事も
性格が欠如なんて事も絶対ない。
俺はちゃんとわかってる。
それに…君は
決して一人じゃないから。
困った時は
俺に相談してくれたらいい。
だから…もう泣くな…。」

そう言って優しい言葉を

かけてくれただけでなく

口角をあげて優しく微笑んでくれた。


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