*花は彼に恋をする*【完】
『光り輝く玉のように…。
太陽の下で眩しく咲く花のように…。
美しい女性になって欲しい。』
そんな願いを込めて
両親がつけてくれた
『玲花』と言う名前。
……私の大好きな名前。
いつか、黒瀬課長代理のそばで
私は光り輝きたい。
羽奈や彩羽みたいにはなれないけど
私なりにあの人のそばで
あの人の一番になって愛されたい。
…愛されてみたい。
その為にはもっともっと
大人の色気とかを出して
美しく、可愛い人になれたらいいな。
『十分可愛い気ある』って
あの人は言ってくれたから
さらにもっと輝けたらいいな…。
私だけ見て貰えるように…。
そう思っていたのに…。
そんな私の日常生活も
黒瀬課長代理への恋心も
幕を閉じようとしていた。
…神様は私に試練を与えた。
そのきっかけとなったのは
黒瀬課長代理の課長昇進。
しかし、それは
広報宣伝課ではなかった。
…営業部への異動・復帰の話であり
営業部営業1課の
黒瀬課長になると言う
皮肉な人事だった。