*花は彼に恋をする*【完】
その後
入社5年目25歳の私は
新たな出会いをしても
キス以上の段階に進めず
挙げ句の果てには浮気されたり
『つまらない』と見捨てられた。
時々浮かぶのは黒瀬課長の笑顔と
あの優しさと漆黒の瞳。
でも、だからと言って
もう私には手の届かない人。
忘れないといけない。
諦めないといけない。
どうしようもないのに
誰かといても
満たされずに虚しい日々…。
友人や従姉妹達が
次々と結婚して中で
置いていかれる焦りと羨ましさ。
私だって幸せになりたい…。
でも、そんな私が
入社6年目26歳に差し掛かる
数ヶ月前になってようやく
今まで出会った男性とは違う
誠実そうで安心させてくれそうな
優しい男性と出会えた。
彩羽が藤村課長と結婚して
羽奈が高崎主任と入籍した時と
ほぼ同時期だった。
『…慌てずにゆっくりと
段階を踏んでいけばいいと
思ってるから、付き合ってよ。』
彼は身体の関係を無理やり
迫っては来なかった。
『…軽々しく身体を捧げるのも
どうかと思うから
その考えは悪くないよ。』
彼はそれ以上を拒む私に
理解を示してくれた。