*花は彼に恋をする*【完】
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羽奈の結婚式から数日経った夜。
自宅アパートに戻った私は
冷蔵庫に食材がない事に気づき
近所にあるスーパーへと足を運んだ。
……あっ、しまった。
ボーッとしながら
食材をカゴに入れていたせいか
お金を払った後で気づいた。
…また、買い過ぎた。
袋詰めしてスーパーを出る度に
こうして後悔している気がする。
数週間前まで交際していた元彼が
週1~2回は夕食を食べに来たり
私が元彼の所へ作りに行ってたから
その名残りがまだ抜けずに
つい買い過ぎてしまう。
料理もつい作り過ぎてしまうから
作り過ぎた翌日は
必然とお弁当になったりする。
『節約』だとごまかしながらも
心の中で何度もため息をつく事が
珍しくなくなっていた。
スーパーの出入口を抜けて外に出る。
桜はもう散ったけど
新緑やお日様の匂いを感じられて
段々過ごしやすい時期になるから
この季節は嫌いじゃない。
…さてと…この食材。
どうやって食べようかな…?
そう考えながら歩いていたその時
駐車場の方からスーツ姿の男性が
スーパーのあるこちらに向かって
歩いて来たのが見えた。