*花は彼に恋をする*【完】
大胆に誘ってしまったけど
声をかけてよかった。
今日は和食でちょうど良かった。
料理が好きで良かった。
普段あまり笑わない黒瀬課長が
嬉しそうな顔をしながら
『美味い』とずっと言ってくれた。
ご飯をおかわりしてくれて
モリモリと気持ちいいくらい
綺麗に完食してくれた。
その後
「…ごちそうさま。
いやー、本当に美味かったよ。
こんなに家庭的な食事は
久しぶりだから箸が止まらなかった。
……ありがとう。」
課長は私にお礼を言うと
私が出した熱い緑茶を啜り
「…食後の熱いお茶もいいな。」
と言いながら嬉しそうに微笑んだ。
「…喜んで頂けて良かったです。」
正直なところ
緊張してドキドキしていた私は
食事の味がわからなくなっていた。
でも、この時間は本当に夢じゃない。
私は、向かい側に座る黒瀬課長の
食事を食べている姿や
極上の笑顔を見れただけじゃなく
私の食事の味まで褒めて貰えた。
私もお茶を啜りながら
嬉しくて嬉しくて
感激で胸がいっぱいになった。