*花は彼に恋をする*【完】
「…彼氏…いませんから。
怒られるなんて…ありません。」
『…あなたの存在が引っかかって
相手に愛想を尽かされ
呆れられて振られ続けました。』
とはさすがに言えないけど
複雑な気持ちで俯きながら
私は口を開いた。
すると
「…えっ!?いないのか!?
それは…本当なのか!?」
私の返答に
黒瀬課長が目を見開いて驚いた。
「……?」
うん?何?
この人がなぜそんなに
目を見開くのかわからない。
私に彼氏がいないのが
そんなに珍しいの?
それとも…遊んでると思われてる?
私はあなたを忘れる為に…。
疑問と複雑な感情の中で
「…本当にいないですから。
嘘じゃないです…よ。
別れましたから…。
高崎課長代理と羽奈の結婚式の
数週間前に…。」
私はそう答えると
黒瀬課長は切なげな表情で
「…そうか…別れてたのか。
てっきり、俺は……。
野田さん、悪かった。
嫌な事を思い出させてしまったな。」
そう言うと
「…悪かった。」
と、私に軽く頭を下げて謝ってきた。