*花は彼に恋をする*【完】

さっきも気になったけど聞けなかった。


3年前にお見合いするって

言ってたあの話は

結局どうなったんだろう?


その女性とは進展があったのか

なかったのかどうかも……。


あの時

関西事業所の当時の営業課長に

黒瀬課長は

『お見合い』を認める発言をした。

私はあの言葉がきっかけで

彼を諦めようとしていた。

息を吸う事も忘れてしまうぐらい

身体の震えも動揺も

頬を伝う涙も止まらなかった。


その後忘れようと諦めようと

新しい恋へと躍起になった。


結局全てダメになっちゃったけど…。


私はぼんやりと天井を見上げた。

課長がここに来たと言う事は

あのスーパーのお弁当を

買おうとしていたのは

その女性とは

婚約に至らなかったから…?


『家庭的な食事は久しぶり』


そう言ってたけど

その女性の手料理は食べてないの?


三橋ならきっと

何かを知っているかもしれない。

あれから何度か

何かを言いたそうにしていたから。

でも、やっぱり聞けないな…。

聞くのを拒否したのは私だから。






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