*花は彼に恋をする*【完】
黒瀬課長が私のアパートで
夕食を食べたあの日から
1ヶ月が経とうとしていた。
私はあれから約束通り
週末に黒瀬課長と食事に行った。
偶然出会えたあのスーパーで
初めて乗せて貰えた
彼が所有する黒色の高級車に
私は再び乗った。
「…この車…凄いですね。
この間も乗せて貰えた時も
そう思ってました。
ピカピカで綺麗だし…。」
一般社員には到底手が届かない
高級感が溢れる課長の車に
私は感激の声をあげた。
「…ああ、コレさ
3月に納車されたばかりなんだ。
前から欲しかったから
ずっと貯めていたんだ。」
前を向いたまま
さり気なく話す私服姿の課長は
黒系統をこよなく愛しているけど
凄く良く似合っていて
私は横目でチラリと
ばれないように見惚れていた。
「…3月に納車?」
…じゃあ、もしかすると。
そう思った時
「…ああ、だから
助手席に座った女性は
野田さんが初めてなんだよ。」
そう言って私をチラリと見た
その黒瀬課長の言葉に
「…えっ!?私が初めて!?」
私は驚いてしまった。