*花は彼に恋をする*【完】
「…ああ、そうだよ。
別に、そんな驚く事でもないだろ?」
課長はクスクス笑いながら
目的地の駐車場に車を停めると
「…さあ、着いたよ。
車の話はいいから、行こうか?」
と、私に優しく微笑んだ。
黒瀬課長が連れて行ってくれたのは
お洒落なイタリアンのお店だった。
「…1週間お疲れ様。
この間はごちそう様。
美味しかったよ…ありがとう。」
「…お疲れ様でした。
こちらこそ…。
ありがとうございました。」
2人ともノンアルコールの
カシスオレンジで乾杯した。
「…おいしい!!」
課長が予め予約していたコース料理。
前菜もシーザーサラダも
カルボナーラパスタも
黒瀬課長から一口頂いた
揚げ茄子入りのミートパスタも
トマトとバジルと
モッツァレラチーズのピザも
食後の3種のデザートも
全てが本当に美味しかった。
『美味しい』を連発する私に
「…野田さんは美味しそうに
食べてくれるね。
一緒に来た甲斐があったよ。」
そう言いながら
口角をあげて微笑む黒瀬課長に
私は恥ずかしさとドキドキで
段々頬が赤らんだ。