*花は彼に恋をする*【完】
***
いつものように会社へ行く
当たり前の毎日はやってくる。
でも、時々社内ですれ違う度に
『…また、連絡するから。』
『…あの卵焼き、もう一度食べたい。』
と、さりげなく
彼から話しかけられるようになった。
「……!!」
不意打ちのようにドキドキして
顔が紅くなりそうになりながらも
「…はい。」
と承諾してしまう私に
黒瀬課長はクスクスと笑いながら
『…楽しみにしてる。』
と反応を楽しむように
通り過ぎていった。
このやり取りはもう何度目かな?
…もう。
私の反応を面白がるなんて
意外と黒瀬課長はSなのかな?
どう思ってくれてるのか
やっぱりわからない。
だけど
私はいつもこのやり取りに
ドキドキさせられてばかりだ…。
期待してしまいそうになる。
嬉しいけど、紅くなる顔を冷やす為に
いつものカフェオレを買って
私は冷えている缶を額と頬に当てた。
しかし
その現場を、様子を目撃していた
女子社員がいた事を
私は気づかなかった。